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2008年1月21日 (月)

悪あがきのすすめ

 OECDが調査した学力調査で日本の学力ランキングが下がったことが話題になりました。最近の日本の不振にはさまざまな要因があるといわれています。ある学者は政府のゆとり教育政策の失敗を論います。確かに薄っぺらの教科書を一度でも見たことがある方はそんな不安にかられるでしょう。詰め込み教育の反省として行われた教育内容の削減は、それに代替するものが検討されないまますすめられてきました。総合的学習の名のもとに試行錯誤されてきた学習活動の中にはうまく機能していないものもあります。近頃はこうした動きへの反動として従来型の学習方法の見直しが行われています。「詰め込み式」礼賛の声も聞かれます。

 さて、私は教育の現場にいるものとして気がかりなことがあります。つまり、答えが正解か不正解かどちらかしかないと考える子供たちがあまりにも多いということです。分かる問題には答えても、分からない問題には一切答えない。空欄ばかりの答案が多いのです。私のように国語の教員をしているものにとって、正解は一つではなくいくつかの表現の仕方があることはいわば常識なのですが、その国語でも空欄にしてしまう生徒が多いことを日々実感しています。このことが日本の教育の問題点なのではないでしょうか。こうした現象が起きるのは、こどもたちがある問に対して答えは一つしかないと考えていることを意味します。そしてその答えは先生が教えたことか、教科書に書いてあることであり、そのほかには考えられないことになります。そういう子供たちは、運よく答えを覚えていれば書けますが、忘れてしまったか、聞いたり見たりしたことがなければ、答えられないことになります。

 国際的学力調査であいかわらず強いのがフィンランドです。フィンランドのこどもたちの答案には空欄は少ないと聞きます。とんでもない間違いをしていてもとにかく書く。そういう雰囲気が出来ているようなのです。とにかく書くためにはそのつど自分の頭で考えることが必要です。日本の教育に欠けているのは、このそのつど自分で考え答えをひねくりだす「悪あがき」のなさです。

 こうした行動の責任は、もちろん性急に正解を教える日本の教育の方法にあります。教えるべき情報があまりに多いので、先に進めるために、こどもたちが考える時間を与える余裕がないのです。これからの教育はとにかく生徒に考える時間を与える必要があります。

 具体的はそういう雰囲気を作るのが教員の役割といえそうです。いうのは簡単ですが実はこれはとても難しい。生徒の答えを待っている時間はとても長く感じるのです。下手をすると授業そのものが崩壊しますし、生徒の自主性を尊重するあまり、学力差を助長することにもつながりかねません。生徒の思考力を引き出す力が、教師に求められる能力ではないかと考えます。

 「詰め込み式」教育を受けてきた私にとって上記のことがらは言うに易く行うに難き問題です。今日も授業を終えて、結局試験範囲の消化のため余裕がなかった自分を反省しています。今はとにかく自己意識改革からはじめようと思います。

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