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2008年10月 6日 (月)

伊曾保物語のなんとも不思議な感覚―私の古典文学散歩(5)

 イソップ童話はだれでも一度は読んだ物語でしょう。古代ギリシャでその原型ができたという寓話集は、動物を主人公とする教訓的な話で有名です。実はこの話は戦国時代の末期にポルトガルの宣教師たちによってもたらされ、「伊曾保物語」として翻訳されています。キリスト教関係の図書が禁書になったあとも、本書はたびたび版行し、ユニークな挿絵とともにさまざまな版本が流通しました。いまは岩波文庫の一冊になっているので大変読みやすく、手に入れやすい一冊です。
 たとえば有名な肉を加えた犬の話はこんな調子です。(岩波文庫本をもとに一部表記を改めています)

 ある犬、肉をくわへて川を渡る。真中にて、その影、水に映りて大きに見えければ、「我がくわゆる所の肉より大きなる」と心得て、これを捨てて、かれを取らんとす。故に、二つながら、これを失ふ。
 その如く、重欲心の輩は、他の宝を羨み、事にふれて貪るほどに、すなはち天罰を蒙る。我が持つ所の宝をも、失ふ事あり。

 たしかに私たちの知っているあの話と同じです。古文で書かれると不思議な感じがしませんか。徒然草の一段のようにも読めてくるから不思議です。鎖国という文化的閉鎖のなかでこの話が生き残ったことは再評価されるべきでしょう。それにしても挿絵をみると西洋色は全くなし、見事なまでの日本化がなされているのは驚きです。

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